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2011年8月16日 (火)

ボランティアの誕生と終焉

私には、ボランティアはするものであって、語るものではない、という思いがある。

自分が書いてきたものを振り返ってもボランティアに関する論文は非常に少なく、依頼されて書いたものが2点あるだけである。

ボランティアと名前がつく学会にも入っていたことはあるが、一度も出ることはなかった。ボランティアを学問的に語ろうにも、どこかに「ボランティアは善」という前提がある限り、学問にはならない、と思っていた。

ボランティアの実践者でありながら、その本質に迫るような本に出会ったのはただの1回限りである。それは、シャプラニールの代表である中田豊一さんの『ボランティア未来論』である。この本については私のホームページでちょっと紹介させてもらったことがある。

http://www.rikkyo.ne.jp/web/htanaka/00/Nakata01.html

中田さんは援助先のバングラデシュで、ある農民から「あなたは縁もゆかりもないのに、なぜ遠い日本から来て、私たちを助けようとするのか」と問われ、その問いをずっと抱えていた。そして、その答えをこの1冊の本にしたのである。中田さんはもともと哲学を専攻していたということもあり、非常に深いところで考察している。

ボランティアを学問的に分析するならば、ボランティアとは距離をおいた人が第三者として客観的に分析するのがよいだろうと思っていた。それには、人間の社会や行動をシニカルに批評する社会学がうってつけだろう。誰か、ボランティアをそういう観点から分析する人はいないだろうか、とかねがね思っていたところ、ようやく現れた。それが、

仁平典宏著『「ボランティア」の誕生と終焉-<贈与のパラドックス>の知識社会学』名古屋大学出版会

である。

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