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2011年3月31日 (木)

『天空の蜂』

原発の状況は一進一退といったところで、まだ最終解決への見通しが立ちません。ということで何をするにも落ち着かない毎日です。

原発については1990年代くらいまでは盛んに議論されていたのですが、ここ10年くらいは「原発の議論は終わった」という雰囲気が強く、この問題を持ち出して議論することすらできないような状況でした。私も立教大学で環境教育の授業をしましたが、原発やエネルギー問題のことを話すことはほとんどなく、今はそれをとても悔いています。

『天空の蜂』は東野圭吾が1995年に発表したミステリーで、原発のことを扱っています。超大型の自動操縦のヘリコプターが、稼動中の原発の真上でホバリング。「現在稼動、建設中の原発を全て使用不能にしろ。さもなくばヘリコプターを落とす」という内容の脅迫が犯人から届きます。

この小説の特異なところは、犯人探しではなくて、犯人の動機にあります。ミステリーなので多くを語ることは避けますが、いつのまにかなしくずし的に議論もなく多くの原発が作られたこと、私たちの生活がそれに大きく依存していること、にもかかわらずその現実を見ないかのように容認している現代日本。そんな状況がこの小説の底流にあるように思います。

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コメント

伊東(椎名)順子です。
田中先生、お久しぶりです。
私も原発のニュースを見ながら、毎日落ち着かない日々を過ごしています。
原発から180キロ離れた守谷市でも、自主的に避難する方が少数ながらいるようです。
長女の小学校の友達の一人も、原発から避難する為に、関西の親戚を頼って転校してしまいました。
そんな話を聞くと、このまま茨城県に住み続けて大丈夫なのかと不安になったり…。
とにかく、早く収束してくれることを祈るばかりです。

投稿: 伊東順子 | 2011年3月31日 (木) 19時03分

順子ちゃん、
お互い大変ですよね。事故の最初の頃、つくばからも400人以上は避難していたようです。今はわかりませんが・・
今のレベルの放射線ならば短期でどうこうということはありませんが、これが半年も一年も続くとなるとやはり考えてしまいます。
ともかく放射線物質の外部流出を一刻も早く止めてほしいですよね。

一段落したらまた皆で集まりましょう。

投稿: 田中治彦 | 2011年4月 1日 (金) 09時53分

落ち着いたら、また皆で集まりたいですね。
その日が来ることを楽しみにして、頑張ります。

投稿: 伊東順子 | 2011年4月 1日 (金) 20時06分

数日前から、
『天空の蜂』図書館で借りて読んでいます。

ミステリー小説をほとんど読むことがなかった
ので、新鮮です。
今回のできごとと重ねて読んでしまうところも
ありました。

長くて、なかなか前に進まず、ほぼホバリング状態
ですが、ときどき気になって思わず数ページめくり、
ひとの人生を感じる。。。長編のよさもそんな
ところにあるのかなと思いました。

投稿: 森井哲也 | 2011年4月 9日 (土) 14時39分

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