« 『肥満と飢餓-世界フードビジネスの不幸のシステム』 | トップページ | 検察審査会の思い出1 »

2010年10月 4日 (月)

もののけ姫を読み解く

昨日、立教大学で「もののけ姫を読みとく」というシンポジウムが開かれました。

それぞれのパネラーにいろいろな思いがあり、多岐にわたって語られました。まとめると、主に3つの論点で報告されました。

1.環境教育・開発教育の観点から

 野田研一さんは環境文学の立場から「野生の自然」と「二次的な自然」を対比して論じました。太古の森(人間を寄せ付けない)のイメージはアメリカの環境文学に良くでてくるモチーフであるそうです。

 私は開発教育の観点から、共生(共棲)と対立の構図を明らかにしました。また、物語のエンディングが「弁証法的」であることを指摘しました。アシタカがなぜサンと別れてタタラ場に残ったのかを解説しました。

2.時代背景から

 小峯和明さんは中世の説話などの専門家で、もののけ姫の舞台である室町の頃の時代背景を詳しく解説してくれました。私はこの物語は「現代」を語るために作られていて、時代はいつでもよかったのだ、と思っていましたが、そうではないことがわかりました。登場人物やエピソードにも、それぞれ当時の説話、絵巻物、物語に題材があると知り、驚きました。

3.宮崎駿のアニメ論

 上田信さんは中国の環境史などの著書があります。彼は「ナウシカ」との出会いが強烈で、「ナウシカ」の続編を自分で作ってジブリに持ち込んだほどです。ナウシカで語れなかったもの、積み残したものをその後の作品で展開していき、もののけはその集大成である、と解説しました。

 北條勝貴さんは専門は日本古代史なのですが、アニメの分野でも半端ではない知見をもっています。ジブリ映画の系譜をなぞりながら、もののけ姫とその後の作品である「千と千尋」や「ポニョ」と結び付けて解説しました。私は、もののけ姫が宮崎アニメの集大成と思っていたので、その後の作品でもいろいろなチャレンジをしていることを知って新鮮でした。

 全体で4時間に及ぶシンポジウムでしたが、それが短く感じられる程の密度の濃いシンポでした。このシンポの内容はいずれ立教大学ESDセンターのホームページで紹介される予定です。

 ひとつおまけがあります。Googleで「もののけ姫」を検索すると、私の「なぜ、もののけ姫か?」が3位にランクされました(本日11時)。通常は10~20位くらいなので驚きました。ちょっと自慢です。

|

« 『肥満と飢餓-世界フードビジネスの不幸のシステム』 | トップページ | 検察審査会の思い出1 »

アニメ・ゲーム」カテゴリの記事

開発教育・ESD」カテゴリの記事

コメント

「もののけ姫」のシンポとても面白かったようですね。
ホームページにのる日を楽しみにしています。

それにしても、小さな子を連れて映画館に「もののけ姫」
を観に行った日のことを思い出します。

「わかんなーい」と不評でした。私も?の部分がいくつもあって、その後のお勉強をして、ようやく「あ、そうなんだ」と思うことが多かったように思います。

たぶん、古典になるぐらいの作品は、そんなものだと思います。(ほとんどわからないんですけど、シェークスピアの作品なんかも、そうなんじゃないでしょうか?)

ただ、興行的な作品としては難しいかも知れませんね。
(研究されて、解説がついて、予備知識を持って初めて理解される作品というのは、いかがなものか?とも思わないでもありません)

宮崎監督からみれば、「もうあんなのはいい」と低い評価だと思う「耳をすませば」なども、私は好きで、何度見てもその場で即、感応できます。

ただ、この前TVであったのですが、これを観た人は「落ち込んだ」人が多かったとか。自分の青春時代とあまりにちがい過ぎていたからとか。原作はマンガだそうで、年齢設定もアニメよりさらに若かったようですが、確かにこんな若者いないよねーとは思いました。でも、どこにでもいるような人が描かれていてもつまらないし。。。それでも確かに主人公には自分を重ねにくかったんだろうなとは思います。(脇役の子には重ねやすかったとも思いますが)

若者に関して詳しい?田中先生には、そちら系の作品も、(ヒマが奇跡的にできたら)ぜひ論じていただきたいです。


投稿: 森井哲也 | 2010年10月 5日 (火) 00時11分

シンポの報告を楽しみにしていました。
素晴らしい奥行きと広がりのあるシンポですね。
田中さんのブログを読んでいるだけで、
濃縮した4時間で、
あっという間に過ぎていっただろうと感じ取れました。

私の「被差別」からの視点というのは、
中世と大きく関わることで、
小峯和明さんのお話と重なってくるのかもしれません。

首都圏に住んでいなかったのが、
残念でした。

(^^)//

投稿: ONIKI | 2010年10月 5日 (火) 07時29分

過日は大変お世話になりました。また、拙ブログへのトラックバックありがとうございました。
史学科では、来年度から初年次教育の科目を正規カリキュラム化する予定です。学生たちを連れ歩いて「東京の環境文化」を実感させつつ、持続可能性についても考えてゆきたいと思っています。
またよろしくご指導ください。

投稿: ほうじょう | 2010年10月10日 (日) 13時11分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/557951/49646823

この記事へのトラックバック一覧です: もののけ姫を読み解く:

» アニミズムとアニメート:『もののけ姫』シンポ終わる [仮 定 さ れ た 有 機 交 流 電 燈]
ずいぶん更新が滞ってしまった。この間、書くべきことはたくさんあったのだが、とにかく忙しくて余裕も何もない毎日だった。秋学期の授業も始まったが、こんなに余裕のない状態で来年まで保つのか不安になる。週の3分の2くらい...... [続きを読む]

受信: 2010年10月10日 (日) 06時34分

« 『肥満と飢餓-世界フードビジネスの不幸のシステム』 | トップページ | 検察審査会の思い出1 »